☆☆☆★★ 山田洋次 2010年
市川崑の『おとうと』を、構造だけ借りて中身に違うものを注入
したのがこの映画である。もっとも、『おとうと』はもともと幸田文
の小説だが。
山田洋次の「おとうと」は、肺病やみの青年ではなく、親戚中か
ら厄介者あつかいされているフーテン(笑福亭鶴瓶)である。そ
れが吉永小百合の「おとうと」なのである。要は寅さんとさくらの
関係をひっくり返したともいえる。
それがどのようにしてあの「ピンクのリボン」に至るのか。
そこだけは原作と一緒であることは知っていたので、「うーむ。
なるほどなー」という感じ。
そんな姉弟の物語よりも、「出戻り」を演じるのはきっと初めて
だったに違いない蒼井優と、いつも通りの好青年役の加瀬亮の
恋には思わず心躍った。最近つくづく蒼井優のうまさに舌を巻く。
こないだ黒木華と蒼井優を「等価交換可能」と書いてしまいまし
たが、これを観るとやっぱ蒼井優が一歩リードかな。
4.13(月) BS朝日
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