☆☆☆★★ 是枝裕和 2017年
観終えて、複雑な気分である。
レベルは高い。吟味されたセリフ、ストーリーテリング、
キャラクターの造型はもちろん、見せる所・見せない所、
語る所・語らない所のバランスなど、ほんとうに見事。
でもこういう映画を「好きじゃない」と感じるひともい
るだろうなぁとも思う。『そして父になる』のとき私は
「意味のないカットがひとつも無いというのは、それは
それで観ていて疲れるものなのだ。」
と書いた。今回は同じ傾向がより悪くなって顕在化して
いるように思った。意味ありげな、思わせぶりなカット
が多くて、その裏に監督の「まあこのこと覚えといてく
ださいよ」とか「ほら、ここで伏線は回収したでしょ」
が見えてしまうのだ。ただとても微妙なラインで、ひと
によってはそれが映画的な快感にもなり得るのだが、な
まじ是枝さんがクレバーで理知的なひとである事を知っ
てしまっているがゆえに、それがうまく快感にならない
のである。ぜいたくな悩みかもしれないが…。
MVPは役所広司。『CURE』の萩原聖人を彷彿させる、
ガラス越しの接見だけで観るものに恐怖を与える不気味
きわまりない演技だった。そして制服をきちんと着た広
瀬すずの可愛さ…。
9.24(日) 新宿ピカデリー
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