2019年12月24日火曜日

アイリッシュマン


☆☆☆★★  マーティン・スコセッシ  2019年

スコセッシとデ=ニーロがCGまで駆使して、
ひとりの殺し屋と大物マフィアとの長大な物
語を紡ぎあげる。それはアメリカの裏の歴史
でもある。"アイリッシュマン"という題だが
展開していくのはわりに「いつもどおり」の
イタリア系マフィアのストーリーなので、主
人公がアイルランド系であることがいったい
どのような重みをもつのか、感覚としていま
いち分からないまま進んでいってしまう。ま
あでもタイトルにするほどだからよほど大事
なことなんだろうと思って「アイリッシュ」
という単語だけは逃さぬよう集中していたが、
実はデ=ニーロが演じたフランク・シーラン
のあだ名だった、という意味ぐらいしかない
のかね?

アル・パチーノが演じたジミー・ホッファと
いう人物は知らなかったが、アメリカでは組
合の大物として絶大な権力を持ち、謎の失踪
事件も含めてとても有名らしい。

NETFLIXの莫大な製作費があって、好きにし
ていいよと言われたのかどうか知らないが、
きっと普通の映画よりは自由度があって、そ
のうえでスコセッシが撮りたかったのがこの
物語だった、というのが実に興味深い。さん
ざんひとを殺した挙句、主人公は最後に告解
のようなことに向っていって、「赦し」がひ
とつテーマとして顕現してくる。

今回が209分。『沈黙』(2017年)が162分。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(20
14年)が179分。
スコセッシのタフさには脱帽するしかない。

                          12.18(水) アップリンク渋谷


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