2012年12月29日土曜日

冬の読書②


『あの川のほとりで』
ジョン・アーヴィング 著    小竹由美子 訳     新潮社

長い小説を愛好する私としては、いつもお世話になっているミスタ・
アーヴィングの最新作。この作品の後、英語圏では"In One Person"
という作品が既に出版されたようだが、それは本邦未翻訳である由。

熊と間違えて父親の愛人をフライパンで撲り殺してしまった息子と、
当の父親が、タチの悪い保安官から北部アメリカ、そしてカナダと
逃げ続ける話を軸としながらも、当然そこに作家のイマジネーション
の尽きせぬ泉から溢れてきた、タフな木こり、料理、ベトナム戦争、
小説の書き方、ブッシュの政治、9.11などなど、様々な要素が思わ
ぬところから飛び出して来る。その「飛び出し」の楽しさが、アーヴィ
ングを読む楽しさのひとつであることは疑いなかろう。

アーヴィング作品としては【B+】か【A-】といったところか。小説として
質はもちろん高いが、アーヴィングとしては特別できが良いわけでも
ないような。

ちなみに今まで『また会う日まで』『未亡人の一年』以外は取りこぼし
なく長篇を読んできたが、大好きな【A+】評価の作品は『ホテル・ニュ
ーハンプシャー』。ちょっと落ちて【A】は『サイダーハウス・ルール』
『オウエンのために祈りを』『サーカスの息子』の3作。










『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』
町山智浩 著       文春文庫

相変わらずの「グロテスクなアメリカ」をえぐり出す刺激的なコラム集。
アーヴィングと並行して読んでいたのだが、何日かすると小説のエピ
ソードだったかこのコラムのエピソードだったか分からなくなってきた。

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