2013年12月13日金曜日

夢と狂気の王国


☆☆☆★         砂田麻美        2013年


『エンディングノート』の砂田麻美が、『風立ちぬ』と『かぐや姫の
物語』を製作中のスタジオジブリに潜入する。そんなおいしい状
況なら、そのへんのものをテキトーに撮っても面白いものに成り
そうだね、なんて言っちゃいけない。

ジブリといえば私はかねがね、あのいかにも扱いにくそうな監督
(それも二人も、だ!)を、ほいほいと転がして映画を作らせている
プロデューサー・鈴木敏夫という人間が、どう見てもいちばん「悪い
奴」だと思っていたので、もしあいつの内面に迫っていたら、これは
相当に見応えがあるかもしれない、と思っていた。

結果的には、鈴木敏夫のタヌキ親父っぷりよりも、とりあえず事務
スタッフの三吉さんの可愛さから目が離せなかったわけで、ワンカッ
トでも多く三吉さんが登場するように願ったほどである。『かぐや姫』
の完成がまったく見えて来ない焦りの中で、移動中の車内、鈴木敏
夫が「高畑さんは映画を完成させたくないんだよね。宮さんは少なく
とも完成させたがるからずっとラクだ」みたいなことを言っていたの
が印象的だった。

カメラの前で饒舌をふるう宮崎駿のサービス精神にも感心するが、
そのへんはNHKの番組でも見ているので、さほど驚きはない。しか
しよくあんな環境で仕事ができるよね。カメラに見詰められながら
仕事をするというのは、どういう心境なのか考えてしまう。

「ジブリにしのびこんだマミちゃんの冒険」

この宣伝文句も鈴木敏夫が考えたっていうじゃないですか。
みんな転がされてるんだ、タヌキ親父に。

                                                         12.1(日) シネマフロンティア


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