2013年12月23日月曜日

年末の読書②

『死刑』
森達也 著     角川文庫

著者いわく「死刑をめぐるロードムービー」。
著者自身である「僕」は考え、悩み、ひとの意見を求め、現場
に足を運び、死刑囚に会い、そしてまた考える。少しずつ着実
に、思考のレベルを上げていくのだ。しかし、死刑をめぐる道
ゆきに終りは無い。

読み終わってむしょうに『夏の流れ』が読みたくなって、近くの
本屋で探すも、まあ、有るはずもなく。ちーん。だいたい講談社
文芸文庫のコーナー自体がほんとにちょこんと、40cm幅ぐら
いしか無いんだもん。そりゃ有るはずねぇわ。今度札幌行った
ときに買おう。

丸山健二の芥川賞受賞作『夏の流れ』は、高校の時に現代文
の授業で読み、感想を書かされて以来いちども読み返していな
いが、印象は強烈である。私は当時、ニュースステーションで
見た本村洋のたたずまい(と鋭い舌峰)に衝撃に近いものを受
けていたので、そのことを書いたと記憶している。
本書には本村洋とのメールのやりとりも引用されている。









『阿寒に果つ』
渡辺淳一 著     扶桑社文庫

あの渡辺淳一の本を読む日が来るとは思わなかったが、この
小説だけは、釧路や阿寒が登場することと、夭逝の(自死した
人間にもこの表現を使っていいのかどうかは分らないが)少女
画家がモデルということで、以前から気になっていた。買って
3年ほど本棚で熟成させたわけだが、このたびふと手に取って
読んでみると、これがなかなかおもしろい。文章はまったく巧い
とは思わないが、やはり題材が鮮やかだし、いちいち細部がよ
く描けている。まあ実際にあったことがほとんどだからもしれな
いが。
加清純子(というのがモデルになった少女画家の名だが)という
ひとは興味深いね。他にも本があるようなので、読んでみようと
思う。画集も見たい。


0 件のコメント:

コメントを投稿