2014年5月9日金曜日

ミュージシャン関連本


山下達郎のラジオを聴いていると、ほとんど毎週のようにミュージ
シャンの訃報が伝えられる。達郎が青春時代に愛聴したミュージ
シャンが(ソングライターだけでなくスタジオミュージシャンも含むの
でその数は膨大なものだろうが)、いま続々と亡くなっているので
ある。達郎ぐらいの年齢になるとそれも致し方ないことなのかもし
れない。達郎も、「昔よく聴きましたね」とコメントするぐらいで、いち
いち感傷的になったりはしない。
一方で、ほんとうに心から愛聴し、その人柄も含めて大好きだった
ミュージシャンが死んだことが、私にはこれまでに二度あって、どち
らも私にとって大きな衝撃であり、死という究極の喪失を前に茫然
としたし、追悼番組を観ては(聴いては)感傷的にもなる。
その二人とは忌野清志郎と大瀧詠一。
実をいうといまも二人の死が残したものは私の中に響き続けていて、
こうして死後発売される本を買っては読んだりしているのである。


『ネズミに捧ぐ詩』
忌野清志郎 著      KADOKAWA

このたび発見された88年頃の清志郎の手記。
日記のような記述と、歌詞の断片めいた記述が書き綴られたノート
を活字にしたものである。この時期、実母の写真を初めて見た清志
郎の驚きや喜びがつづられた箇所がなんとも切ない。

「装画:百世」とあるのでビックリしてよくよく表紙の絵を見た。てっき
り清志郎の絵だと思っていたのである。それぐらいセンスが似ている。
不思議なものですな。










『ナイアガラに愛をこめて 大滝詠一ルーツ探訪の旅
木村ユタカ 著     シンコーミュージック

大瀧詠一は曲の中にアメリカン・ポップスからの引用を数多くしてい
るが、ポップスは学術論文ではないので、引用元を明記する必要は
ない。なのでファンは、60年代やもっと古いポップスを聴いている時、
ふと聞き覚えのあるフレーズを耳にすると「あ!」と飛び上がって大
瀧のCDを引っ張り出してきて該当箇所を確かめ、「これか」とニヤリ
とするのである。オザケンでも事情は似たようなものだが。

この本はそんな大瀧の引用元をかなり網羅していると思われる。とま
れ、これで一網打尽に知ってしまったら、「これか。フフフ」という出会
いがなくなってしまって夢がないようにも思われてご心配かもしれない。
しかし残念ながら大瀧さんが愛したような五十年代六十年代の、それ
もロクにヒットもしていない曲がラジオでかかることなど(サンデーソン
グブックを除けば)ほぼ皆無であり、そんな出会いをラジオの前で気長
に待っていたら人生が終わってしまう。

この本はそうとう勉強になった。こんなに勉学意欲をそそられた本は
久しぶりで、これと併せて「アメリカン・ポップス伝」を聴くと、またさらに
人物どうしのつながりの見通しがよくなり、大瀧さんの解説も頭に入っ
てきやすい。こりゃいいや、最高だ、そんなGWでした、今年は。

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