2018年1月25日木曜日

ブンミおじさんの森


☆☆☆★  アピチャッポン・ウィーラセタクン 2011年

木に繋がれた巨大な牛が逃げ出して、灌木のあいだを
しなやかに疾走する冒頭は、おおいに期待させられる
出だしだった。眼だけが赤く光る不気味なシルエット
がなぜかこちらを見ているように感じるタイトルまで
の流れは、ほんとうに非の打ちどころがない。息をつ
めて見入ってしまった。
しかしあとから振り返るとこの冒頭のエピソードは何
だったのかよく分からない。

タイトルが明けると、マジック・リアリズムの香りは
するものの、まあそれほど斬新でもない、日本にはよ
くありそうな異界譚となっていく。まあカンヌのパル
ムドールにしては見やすく、眠くもならない映画とい
うことになるのではないか。ラストはK-POPみたいな
歌で終わるのだが、これも釈然としない。冒頭はあん
なに雰囲気たっぷりだったのに…。

                                        1.22(月) BSプレミアム


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