2021年3月29日月曜日
2021年3月27日土曜日
2021年3月24日水曜日
読書③
『クララとお日さま』
カズオ・イシグロ 著 土屋政雄 訳
小説ごとにまったく違う世界を構築して提示
するカズオ・イシグロだが、AIを搭載する
「人工親友」クララと病弱な少女ジョジーと
の交流を軸にした近未来SF的な話なので、読
んでいて『わたしを離さないで』を思い出す
のは私だけではないだろう。「その世界では
当たり前の単語」をさも当然のようにポンと
放り込んで、読者に納得させてしまう手腕は
やはりたいしてもので、本作でも「向上処置
(Lifted)」とか「クーティングズ・マシン」
「汚染」などの単語が不気味に存在している。
しかし翻訳者も悩んだとは思うが、小説中で
明らかに「絶対者」ひいては「神」の「AI版」
ともいうべき"The Sun"を、「お日さま」と
いういくぶん幼児的な訳語で置き換えていい
ものかどうか。せめてカバーイラストは絵本
テイストでなくもっと厳しいものにした方が
よかったのではないか。少なくとも本文中で
外見がほぼ描写されることのない(もちろん
意図的に、だろう)クララの絵を登場させる
のは、感覚として私には理解できない。
『人新世の資本論』
斎藤幸平 著 集英社新書
「話題の人文書」というだけで、いつもなら
敬遠してしまうところ、友人が"激推し"して
くれたので読んでみたら、なんておもしろい
んでしょう。平易な文章で読みやすく、批判
と分析は明快かつ痛快で(SDGsは「大衆の
アヘン」である!)、提案は具体的で、夢物
語に終わってはいない。
終章から引用すると、
資本主義が引き起こしている問題を、資
本主義という根本原因を温存したままで、
解決することなどできない。解決の道を切
り拓くには、気候変動の原因である資本主
義そのものを徹底的に批判する必要がある。
しかも、希少性を生み出しながら利潤獲
得を行う資本主義こそが、私たちの生活に
欠乏をもたらしている。資本主義によって
解体されてしまった<コモン>を再建する
脱成長コミュニズムの方が、より人間的で、
潤沢な暮らしを可能にしてくれるはずだ。
まあ本書が言っているのはこういうことで、
個人的には「資本主義こそが私たちの生活に
欠乏をもたらしている」ということの説明に
グッときた。こういう「素人にも分かりやす
い本」を書ける学者って、けっこう貴重だと
思う。
2021年3月21日日曜日
【LIVE!】 アイナ・ジ・エンド
first solo tour "THE END"
1. ハロウ
2. NaNa
3. サボテンガール
4. 金木犀
5. 日々
6. あぁ揺れてる
7. 勘違いべいびー
8. 粧し込んだ日にかぎって
9. 死にたい夜にかぎって
10. 静的情夜
11. 虹
12. 誰誰誰
13. STEP by STEP
14. きえないで
Encore
15. 彼と私の本棚
16. スイカ
3.1(月) 東京国際フォーラムホールA
新しく好きになったミュージシャンのライブ
に行く、という行為はものすごく久しぶりだ
が、やはり良いものです。
アイドルとは思えない、やさぐれた声に魅か
れてシングルやアルバムを買っていたアイナ
・ジ・エンドさんの初ソロツアーに行ってき
た。声質としてはGLIM SPANKYに近いかも
しれないが、ヴォーカリストとしては昔の椎
名林檎を彷彿させる。ソロ・アルバムを亀田
誠治がプロデュースしたのは、意外性には欠
けるが必然かもしれない。
BiSHの振付けを全部考えているだけあって、
ステージ上での身体表現には目を瞠るものが
ある。26歳にしては妖気が出すぎ…。もちろ
ん歌もすばらしい。今後も楽しみですな。
2021年3月19日金曜日
2021年3月16日火曜日
2021年3月12日金曜日
男たちの挽歌
☆☆☆ ジョン・ウー 1986年
兄(ティ・ロン)はマフィアの大物、弟
(レスリー・チャン)は念願かなって警
官の卵。兄の相棒がチョウ・ユンファ。
闇社会から足を洗うべく、兄は「最後の
仕事」に赴くのだが…。みなさんご存じ
の通り、映画において「これを最後に足
を洗う」という仕事では必ず誰かに裏切
られて失敗して、死ぬか捕まることを意
味する。もちろん本作も例外ではない。
派手なガン・アクションと男臭い友情と
裏切りの物語、そしてジャッキー・チェ
ン映画のようなコメディ要素で、一世を
風靡した1作とのこと。続編も作られた。
しかしティ・ロンが私にはかまいたちの
山内に見えてしまい、チョウ・ユンファ
がどうしても劇団ひとりを彷彿とさせ、
話になかなか集中できない。まあそんな
大真面目に観る映画でもないからいいの
だが。
2.23(火) BSプレミアム
2021年3月10日水曜日
【LIVE!】 中井智彦コンサート
"I Live Musical! '5"
ミュージカルの曲を歌いまくるというコン
セプトのコンサートシリーズ第5弾。私で
もほとんどの曲を聞いたことがあったから、
ミュージカルファンにはよほどおなじみの
曲ばかりだっただろう。
力強い歌声、そして生バンドの演奏、もう
それだけで生演奏に飢えている耳には聴き
ごたえがあった。
ゲストは岡幸二郎さん。「レ・ミゼラブル」
の曲を2曲歌ったが、さすがに格上、という
感じ…。その後、同じ曲を2人で歌い、聴き
比べてもらうという斬新な試み。これはお
もしろかった。
会場は道玄坂のユニクロの上にあるライブ
ハウス。元映画館のようだが、こんなとこ
ろにライブハウスがあったんですね…。
2.20(土) 渋谷PLEASURE PLEASURE
2021年3月6日土曜日
【LIVE! <配信>】村上JAM いけないボサノヴァ
Blame it on the Bossa Nova
2回目の村上JAMはボサノヴァをテーマに、
規模を拡大。大西順子のスペシャルバンド
に加えてゲストは小野リサ、村治佳織、山
下洋輔という豪華さ。ジョアン・ジルベル
トとアントニオ・カルロス・ジョビンの曲
を中心に、圧巻の、ソウルフルな演奏が展
開された。
春樹は村治佳織のギターをバックにしたが
えて(!)「1963/1982年のイパネマ娘」
を朗読。プロじゃないので若干つたないけ
ど、私は春樹の朗読はけっこう好きです。
というかそもそも、私もいいかげん長いこ
と村上春樹のファンをやっているが、配信
映像とはいえ「動いている春樹」を見るの
は「エルサレム賞」の受賞スピーチの映像
以来、2回目。さすがに髪は後退している
ものの、まあまだまだ元気そうである。
最低でもあと1冊は長篇を書いて欲しい。
もう文体の濃密さは『騎士団長』でいける
ところまでいったと私は思っているので、
今度はもう少しちからの抜けた文体になる
のではないかと予想している。
2.14(日) TOKYO FMホール
2021年3月3日水曜日
2021年3月1日月曜日
三人の名付け親
☆☆☆ ジョン・フォード 1948年
三人組の銀行強盗が、保安官から逃げる
途中で身重の女を乗せた幌馬車を見付け
る。女は赤ん坊を産み落とすと、三人に
名付け親になってくれと頼み、息絶えた…。
かくして食料も水も乏しい砂漠で、しか
も逃亡しながら、三人でなんとか赤ん坊
を育てようとする(というか生き延びさ
せる)。
まあ設定はなかなかおもしろいのだが、
どうも私にはそれほどおもしろさが分か
らなかった。しかし砂漠で喉が渇いて死
ぬというのは、絶対に嫌な死に方のひと
つだね。
2.14(日) BSプレミアム
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