2023年12月2日土曜日

読書⑦

 
『遠い声、遠い部屋』
トルーマン・カポーティ 著 村上春樹 訳 新潮社

昔観た映画を再び観ると、記憶があまりに
残ってないことに愕然とするのはいつもこの
ブログで嘆いていておなじみだが、とは言っ
てもうっすらとした記憶はあり、まったく何
ひとつ覚えていないということはない。
それに引き換え、本書は大学時代に旧訳でた
しかに一度読んでいるはずなのだが、最初か
ら最後までこの新訳を読み通しても、何一つ
として記憶に思い当たる登場人物も文章も無
いのはどうしたことか。衝撃的である。大学
時代の自分は半分寝ながらページだけめくっ
ていたとしか思えない。

すでに幾つかの優れた短篇で文壇に華麗に登
場していたカポーティによる、初の長篇小説
である。「村上春樹の翻訳書あるある」なの
だが、「訳者あとがき」で春樹が思い入れも
たっぷりに的確な批評を展開しているので、
いざ何か感想を書こうとしても、もうこのあ
とがきで充分じゃないかと思えてしまう。
本書に関しても、
「カポーティ固有のイメージの、華麗なショ
ーケース」
「不思議な情景、不思議な人物たちが次々に
登場し、その像が大写しになり、色合いを変
えて微妙に歪み、そして霞んで消えていく」

その通りであるし、これ以上の評言があると
も思えない。努力を放棄した格好ではあるが…。













『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』
ブレイディみかこ 著   新潮社

1作目を文庫で楽しく読んだのですぐに2作目
もソフトカバーで買ったものの、例によって
寝かせすぎてとっくに文庫になってから読む
という無駄…。

主人公の男の子は同年齢の日本の子どもに比
べるとはるかに大人っぽく、その言動はたし
かにおもしろい。学校や地域でのいろいろな
出来事を、根本から丁寧に考え、素直に受け
止めていく姿はなかなか気持ちがいい。

学校の演奏会で、クリスマスの定番曲として
ザ・ポーグス&カースティ・マッコールの
"Fairytale Of New York" という曲を演奏す
るにあたってのひと悶着を書いた一篇があり、
知らない曲だったのでどれどれと聞いてみた
ら良い曲だった。歌詞に出て来る罵倒語が同
性愛者に対する差別用語を使っているのが、
子どもが歌う曲としていかがなものかという
ことらしい。

…なんて書いたのが一昨日だが、その直後に
この曲の男性ボーカルであるシェイン・マガ
ウアンの訃報が伝えられた。なかなか波乱に
満ちた生涯だったようで、『シェイン 世界
が愛する厄介者のうた』という映画もあるら
しい。













<ツイート>
私が生まれて初めて聴いたライブがミッシェル・
ガン・エレファントだった。とにかく衝撃的に
音がデカかった。あれでロックンロールに頭を
ぶん殴られて、人生だいぶ変わったかもしれな
い。もちろん良い方向に、だと思うが。

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