2012年3月17日土曜日
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
☆☆☆★ スティーヴン・ダルドリー 2012年
「不在」をめぐる物語。
なかなかおもしろかった。
普通、ここまで真面目にやられると、私の場合は退屈してしまうところ
だが、登場人物の「次の」行動が読めないのと、予定調和なセリフを
吐かないので、最後まで映画的興味は持続した。
主演の子役は抜群の、素晴らしい演技力だった。どうやって見付けて
くるんでしょうね。あの喋らないおじいさんも良い感じだった。
雑にまとめると、話は私の好みではないが、とにかく何もかもが「巧い」
映画だった、ということになろうか。
題名もおもしろいし。"Extremely Loud and Incredibly Close"
観終わっても意味はよくわからないけど。
3.3(土) ワーナーマイカルシネマズ釧路
2012年3月14日水曜日
我ら、時
オザケンを愛するみなさん、実によろこばしいことですね。
春、祝祭です。慶事です。
小沢健二というミュージシャンに興味のない方にも説明をしておくと、
小沢くんはこの10年間に2枚しかアルバムを出しておらず、音楽活動
らしき活動をしてこなかったのですが、2010年に突然ツアーをおこな
い、そしてこのたび「我ら、時」と題されたボックスセットが発売される
のです。それには「ドゥワッチャライク」の連載や「うさぎ!」の連載を
まとめたものと、2010年のツアーの曲目すべてをおさめた3枚組CD
が入っているというわけです。
釧路に赴任するにあたって、ライブや展覧会の類に行くことはすっか
り諦めて旅立ったつもりではあったが、オザケンの2010年のツアー
に行くことが叶わなかったことだけは、枕を涙で濡らすぐらい悲しかっ
た。いまだったら有給をとって札幌に観に行くのだが、当時私はまだ
一年目であり、研修中であり、すいませんオザケン観に行きたいんで
すけど、とは言えなかった。
だからこのボックスセットはうれしい! 断固うれしい!
15000円だろうがそんなことはまったく関係がない。
ちなみに3月から4月にかけて、小沢くんは東京オペラシティでコンサ
ートをやるらしい。行くべきか、とも思ったが、2010年のツアーとはだ
いぶ趣きが違いそうなので、やめとくことにした。2010年のツアーでは
「LIFE」の曲をやります、とわざわざ宣言していたのだ。ある日突然オ
ザケンが日本でツアーをやると言い出して、しかも「LIFE」の曲をやり
ますと宣言するなんて、まるでマイケル・ジャクソンが生き返って日本
武道館でコンサートをやります、といったのと同じぐらいの驚きだった
のだ。いやほんとに。それなのに私は行くことができなかった…。それ
は世界中の不幸をいっぺんに自分が背負っているような悲しさだった。
まあ個人的感慨はそのぐらいにして。
順序としては、はじめにボックスセットがあり、それから発売記念に東京
オペラシティのコンサート開催、そしてパルコミュージアムでの展覧会を
やる、という流れらしい。私はこの中でおそらくボックスセットを買うこと
しかできないが。
2012年3月12日月曜日
黒いオルフェ
☆☆☆ マルセル・カミュ 1960年
冒頭から鳴り響くサンバのリズム。いくらカーニバル期間中の
リオ・デ・ジャネイロの話だからって、夜寝るとき以外ほぼ全編
にわたってズンチャカズンチャカ鳴っているのはどうかと思うが、
陽気でエネルギーに満ちた映画である。
ただいかんせん、ストーリーが雑すぎやしないか。
もうちょっと伏線を張るとか、まともな人間をひとりぐらい登場さ
せるとか、そのぐらいはして欲しい。
3.1(木) BSプレミアム
2012年3月10日土曜日
ツィゴイネルワイゼン
☆☆☆★★★ 鈴木清順 1980年
これには参った。圧倒された。
スクリーンで観てよかった。
冒頭、女の水死体から「蟹」のクローズアップを見せつけられた
時は、正直いって大丈夫かコレ、と思ったが、あとは一気でした。
海辺のシーン。会話する人物のすぐうしろには、波が白く泡立つ
荒れた海が映っているのにも関わらず、波の音も風の音もまった
く聴こえない。録り忘れか。そんなわけねーか(笑)、と思っていた
ら、やがてそれは我々の聴覚の自由を制限する試みであることが
わかってくる。つまり、ここでこういう音がするだろ、という場面でそ
の音がしない。逆に突拍子もない音がへんな場面で聴こえてくる。
それらに「うお!」「なんだ今の?」といちいち反応すれば、すでに
清順じいさんの掌のうえというわけである。まあこの頃はまだ清順
おじさんか。
音もさることながら、映像もなんとカッコのよいこと。
原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代、みんな良いが、特筆
すべきはやはり大谷直子の"妖気"であろう。ちぎりこんにゃく!
原作は内田百閒の「サラサーテの盤」。こんど読んでみよう。
3.1(木) 品川プリンスシネマ
2012年3月5日月曜日
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
村上春樹 著 新潮文庫
高校のとき読んで以来、一度も読み返していなかった。
村上春樹の小説でなぜか唯一これだけ。読み返そうと試みるも、
最初のエレベーターとピンクのスーツの太った娘の描写で挫折し
ていたのである。あそこがけっこうダルいんだよね。
一人称の違う主人公の章が交互に繰り返す、のちの『海辺のカ
フカ』や『1Q84』でも採用される形式(厳密にいえば『1Q84』は一
人称ではないけども)を最初にやり始めたのが本作だが、その2
作と違うのは明らかに片方の章「ハードボイルド・ワンダーランド」
の方がおもしろいということですね。特に会話の冴えにはあらため
て驚いた。得意の比喩も惜しげなく披露されているが、次が『ノル
ウェイの森』、その次が『ダンス・ダンス・ダンス』であることを考え
ると、まだ途上の観あり、といったところ。
しかし人気ランキングでしばしば1位になるのは、正直よくわからな
いなー。私は『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』、もう1作
といわれれば『ねじまき鳥クロニクル』を最も好む者である。まあ
結局は、緑、ユキ、笠原メイと、主人公との会話が好きなんだね。
2012年3月2日金曜日
J.エドガー
☆☆☆★★ クリント・イーストウッド 2012年
映画はしばしば、時間軸を飛び越えて移動したいという欲望に抗う
ことができない。…と、ハスミンっぽく始めてみましたが、時間軸を
ぐちゃぐちゃにすることに関して最も強度があるのは映画でしょうね。
本作も、過去と現在を行ったり来たりで忙しいが、エレベーターやら
競馬場やらを巧みに使うので、さほど混乱はない。
イーストウッドが子どものときからずーっと、FBIの長官だったという
J・エドガー・フーバーなる人物。不勉強ながら私は知らなかったが、
大統領が8人変わってもFBIのトップに君臨し続けたこの特異な人物
にディカプリオが扮している。なかなかの怪演で、良かったと思うが、
アカデミー賞は候補にもしてくれないんだね。
それにしても最近「ゴーストライト」がやけに目に付くのである。去年
のポランスキーの新作『ゴーストライター』はそのものズバリだが、
『ドラゴン・タトゥー』でも、主人公が「ハリエット殺し」を調査するのは、
大事業家の老人の「自叙伝執筆」を隠れみのにしながら、であった。
本作でも映画を駆動するのは、エドガーがゴーストライターに向かっ
て、自らの人生を語る言葉である。『1Q84』で天吾がふかえりと関わ
りを持つのは、まさに「ゴーストライト」という行為を通してであった。
なので本作でエドガーが評伝を書きたいからライターを呼べ、と言い
出したとき「あ、イーストウッド、かぶったな」と思ってしまったのである。
2.17(金) ユナイテッドシネマ札幌
映画はしばしば、時間軸を飛び越えて移動したいという欲望に抗う
ことができない。…と、ハスミンっぽく始めてみましたが、時間軸を
ぐちゃぐちゃにすることに関して最も強度があるのは映画でしょうね。
本作も、過去と現在を行ったり来たりで忙しいが、エレベーターやら
競馬場やらを巧みに使うので、さほど混乱はない。
イーストウッドが子どものときからずーっと、FBIの長官だったという
J・エドガー・フーバーなる人物。不勉強ながら私は知らなかったが、
大統領が8人変わってもFBIのトップに君臨し続けたこの特異な人物
にディカプリオが扮している。なかなかの怪演で、良かったと思うが、
アカデミー賞は候補にもしてくれないんだね。
それにしても最近「ゴーストライト」がやけに目に付くのである。去年
のポランスキーの新作『ゴーストライター』はそのものズバリだが、
『ドラゴン・タトゥー』でも、主人公が「ハリエット殺し」を調査するのは、
大事業家の老人の「自叙伝執筆」を隠れみのにしながら、であった。
本作でも映画を駆動するのは、エドガーがゴーストライターに向かっ
て、自らの人生を語る言葉である。『1Q84』で天吾がふかえりと関わ
りを持つのは、まさに「ゴーストライト」という行為を通してであった。
なので本作でエドガーが評伝を書きたいからライターを呼べ、と言い
出したとき「あ、イーストウッド、かぶったな」と思ってしまったのである。
2.17(金) ユナイテッドシネマ札幌
2012年3月1日木曜日
若者たち
☆☆☆ 森川時久 1967年
当時の若者は、こんなにも激情に駆られてばかりだった
のだろうか…。いくらなんでもここまでではないと思うが、
とにかく怒鳴る、泣く、取っ組み合いの喧嘩をする、で
忙しくってしょうがない。
なにかと「クール」がもてはやされる昨今、この圧倒的な
「暑苦しさ」が新鮮である。
佐藤オリエという女優、当時かなりの人気だったらしい。
なるほどちょっと翳のある美人である。幸の薄い役が似
合う。しかし、わりと六十年、七十年代の邦画を観ている
はずだが、何か出てたかなぁ。覚えがない。
お父さんは彫刻家の佐藤忠良とのこと。釧路市のシンボ
ル「幣舞橋」の彫刻にこの人の作品がある。
2.14(火) BSプレミアム
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