☆☆☆★★★ 鈴木清順 1980年
これには参った。圧倒された。
スクリーンで観てよかった。
冒頭、女の水死体から「蟹」のクローズアップを見せつけられた
時は、正直いって大丈夫かコレ、と思ったが、あとは一気でした。
海辺のシーン。会話する人物のすぐうしろには、波が白く泡立つ
荒れた海が映っているのにも関わらず、波の音も風の音もまった
く聴こえない。録り忘れか。そんなわけねーか(笑)、と思っていた
ら、やがてそれは我々の聴覚の自由を制限する試みであることが
わかってくる。つまり、ここでこういう音がするだろ、という場面でそ
の音がしない。逆に突拍子もない音がへんな場面で聴こえてくる。
それらに「うお!」「なんだ今の?」といちいち反応すれば、すでに
清順じいさんの掌のうえというわけである。まあこの頃はまだ清順
おじさんか。
音もさることながら、映像もなんとカッコのよいこと。
原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代、みんな良いが、特筆
すべきはやはり大谷直子の"妖気"であろう。ちぎりこんにゃく!
原作は内田百閒の「サラサーテの盤」。こんど読んでみよう。
3.1(木) 品川プリンスシネマ
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