2012年11月27日火曜日

鍵泥棒のメソッド


☆☆☆★★★       内田けんじ        2012年

絶好調ですなぁ、内田監督。
開巻からエンドロールまで、ひたすらに「愉快じゃ愉快じゃ。
苦しゅうない」と楽しんでいるだけでいい。そういう映画である。
誰かを(身体的に/精神的に)傷つけなくとも、またきわどい
描写などなくとも、良い映画は作れるんだ、と今更ながら目か
ら鱗が落ちる思い。文化庁の補助金なんかもらってほんとうに
良い映画が作れるのかよ、と『天地明察』の感想で若干バカ
にしたニュアンスを込めて書いたのであるが、どうやら私が間
違っていたようだ。文化庁の補助金をもらっても、良い映画は
作れるのです!

広末は、一瞬ミスキャストか、と思わせておいて、実はけっこ
ういい。なにせ可愛い(結局そこか)。

                               11.22(木) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2012年11月26日月曜日

フレンチ・コネクション2


☆☆☆         ジョン・フランケンハイマー      1975年

げに続篇とはむずかしきものよ。
この程度の続篇であれば、無いほうがいいんだよなー。

                                                      11.18(日)  BSプレミアム


2012年11月25日日曜日

秋の読書②


『異邦人』
アルベール・カミュ 著   窪田啓作 訳    新潮文庫

内田樹の「アルジェリアの影」を読んで以来、カミュが気になる。
実は高校の頃『ペスト』を途中で挫折したことがある以外、カミュ
を1冊も読んだことがない。
ということで「初カミュ」です。

しかしこの『異邦人』ほど「読んでなくても伝わってきてしまう情報」
の多い本はなかろう。「きょう、ママンが死んだ」も「太陽のせい」
も「主人公は死刑になる」も、なぜか読む前から知っている。なん
なら「ムルソー」という主人公の名前も「不条理」というキーワードも、
すでに事前情報としてある。あるいは映画の予告編を先に見せら
れているようなものか。

なので、読んでみて「予告編」と違った印象だったことだけ書くが、
私はムルソーという人間にとても親近感を感じた。ムルソーの"虚
無感"は、現代に生きる者にけっこう通じるものがあると一読して
思った。私が普段感じていること、私の無気力の源のようなものの
所在に光を当てられたような気にもなったのである。無気力に「源」
があるのか、という話にもなるが。









『結局、どうして面白いのか 「水曜どうでしょう」のしくみ
佐々木玲仁 著     フィルムアート社

題名の通りの本です。
著者は「物語」「メタ物語」という概念を導入することで「どうでしょう」
の面白さの仕組みを解き明かそうと試みています。そしてその試み
はある程度成功しているように思います。
我々「どうでしょうファン」=「どうでしょう班」は、これからもずっと「結
局、どうして面白いのか」と問い続けながら、どうでしょうの新作を待
ち焦がれ、過去のDVDを繰り返し繰り返し観るべきなのでしょう。そ
れは甘美な宿命にも似ています。



2012年11月22日木曜日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q


☆☆☆★★        庵野秀明      2012年

なるほど……。

映画としての満足度は、まあこの点数か。
これから観るひとのために、詳しくは書きませんが。

「誰が」「どういう思惑をもって」「何をしたいのか」がちっとも
分からないまま90分が過ぎていくのだけれど、それでいて
視線と心とは抗いがたくスクリーンに釘付け、というわけで
ある。

さあ次でどうオトシマエを付けてくるのか。楽しみだね。

                              11.18(日) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2012年11月21日水曜日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破


☆☆☆★★★         庵野秀明       2009年

公開時に観て以来、3年ぶりに再見。
観客サービス的な分かり易さとストーリーのねじくれた難解
さがいとも容易く同居するのもアニメという手法ならではか。

初号機のダミーシステムがアスカを…のシーンは、二度目
でもあまりのおぞましさに鳥肌が立つ。

さて、それでは『Q』を観に行って来ます!

                                                              11.17(土) STV


2012年11月19日月曜日

アルゴ


☆☆☆★★        ベン・アフレック       2012年

とても良い出来だった。これぞサスペンス。文字通り
「手に汗にぎる」展開。
イランのひとは怒りそうだけど。

着実に監督としてのキャリアを積んできてますな。
未来のイーストウッドと呼ばれるだけある。

                                                11.12(月)  チネチッタ


2012年11月18日日曜日

ラヴィ・ド・ボエーム


☆☆★★★      アキ・カウリスマキ      1992年

プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の翻案とのこと。
そのオペラを全く知らない無教養なわたくしとしては、純粋に
映画として観るよりほか無いのであるが、中身にはあまり感心
しませんでした。感心しなかったというか、退屈だったというか。

『ル・アーヴル』と同じ役者が主要な役を務めており、主人公
の名前「マルセル・マルクス」は一緒である。

                                                         11.11(日) 早稲田松竹