2011年11月4日金曜日

ミリキタニの猫


☆☆☆★★       リンダ・アッテンドーフ     2007年

この映画の主人公、ジミー・ミリキタニは最初、ニューヨークの路上で
寝起きしながら、一心不乱に絵を描いている。絵の題材は、猫、第二
次大戦中の日本人強制収容所、そして原爆投下後のヒロシマ…。
彼、ジミー・"ツトム"・ミリキタニは、アメリカ生まれ、広島育ちの日系
人画家なのである。

これは客観的事実(と呼ばれるもの)を記録するだけがドキュメンタ
リーではないということのひとつの証明でもある。なぜなら、この映画
の取材中に9.11同時多発テロが起こり、高層ビルが焼け焦げた結果、
ニューヨークの路上は有害なガスが充満した。彼は一連の事件を意
に介さず、絵を描き続けていたが、監督のリンダはジミー・ミリキタニ
を自宅に招き、奇妙な共同生活を始めるのである。

まあそういうわけで、何の予備知識もなく観たが、「反骨」という言葉が
実にしっくりくるミリキタニさんの非常にクセのあるキャラクターが魅力
的な佳作である。

                                    11.3(木) BSプレミアム


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