2011年11月14日月曜日

最近かたづいた本


『蜘蛛女のキス』

マヌエル・プイグ 著   野谷文昭 訳   集英社文庫

舞台は刑務所。同室の男どうしの会話で始まる本書は、ほとんど
すべての部分がそのふたりの会話で占められる。しかも会話の大
部分は、男がもう一方の男に映画のあらすじを語って聞かせてい
るのだから、かなり奇妙な小説といえるだろう。しかしその「語られ
る映画」が、微に入り細を穿ってほんとにおもしろい、たぶん実際
に映画を観るよりもおもしろい気がする。「小説の強度」といったも
のを感じる小説だった。どんな形式だろうと、語られているのが映
画のあらすじだろうと、小説はそんなの全部飲み込んでおもしろく
してしまう、そうだろベイビー、という感じ。










『お言葉ですが… 別巻3 漢字検定のアホらしさ

高島俊男 著    連合出版

わたくしのこよなく敬愛する高島先生、あいかわらずハズレなしの
圧倒的な面白さです。『諸君!』の連載が雑誌の休刊で終わって
しまってから何をしてらっしゃるのかと気がかりでしたが、いまは講
談社のPR誌「本」に「漢字雑談」という連載があるようですね。最近
知りました。あとは、連合出版から年に一度出されるこの『お言葉
ですが…』にいろいろな文章を書き下ろしていらっしゃるようです。
わたくしは、高島先生と村上春樹にはとにかくお元気で長生きして
もらって、一文でも多くの文章をこの世に残してもらいたいと心から
願う者であります。









『本音を申せば』


小林信彦 著    文春文庫

文春連載のコラムをまとめたもの。もしも小林さんの連載がなくなっ
たら、いよいよ週刊文春は買わなくなるだろうなー。「顔面相似形」が
ある週は除いて。




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