2011年12月4日日曜日

アントキノイノチ


☆☆☆★      瀬々敬久     2011年

印象としては、丁寧なつくりで、好感がもてた。
柄本明が突然泣き出すのに違和感を感じたのと、学校で刃物
持ち出して喧嘩してるやつがいるのに、先生たちが駆けつける
のが二度とも遅すぎて、ちょっとご都合主義に見えたのが惜し
かった。でもこれといって不満はないし、何はさておき映画最大
の魅力は、主演のふたりである。そこが勝負の分かれ目であっ
て、映画の成否がかかっている。岡田将生と榮倉奈々。
「東京公園」が良かったので榮倉奈々には期待していたが、期
待にはかなり応えてくれた気がする。良かった。

過去に精神的な傷を抱えざるを得なかった若い男女が、不器用
にもすこしずつ心を通わせあっていくという、非常にありきたりな
話のパターンだが、監督はその定型を使いつつも、観客がゲン
ナリしないよう、丁寧に裏切りを仕掛けている。あまり観客の予
想通りには事が運ばないようになっている。と、わたしは思った
のだが、はたして、観るひとによってそれぞれだとは思うけれど。

さだまさしの原作は読んでいない。どのぐらい原作に忠実なのか
も気になるところ。忠実であればいいってものでもないし、往々に
して、枠組みだけ残して換骨奪胎したほうが映画的にはよくなる
ものである。

<追記>
わりと良いことばかり書いたが、本作の終盤の展開には絶対に
納得できない部分がある。それにはほんとうに失望させられた。
ああいうことをやってはいけない。百歩ゆずってやるにしても、
あんなに軽々しく、ワンシーンだけでやってはいけないと思う。

                               11.21(月) ワーナーマイカルシネマズ釧路


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