2013年9月2日月曜日

夏に読んだ本①

『クヌルプ』
ヘルマン・ヘッセ著    高橋健二 訳    新潮文庫

クヌルプはとらえどころがない。
そして、ゴルトムントを知ってしまった後に読むと、幾分似たところの
あるその人物像はちょっと地味に思える。
しかしやっぱりヘッセのこういう小説、好きです。
ヘッセの小説の重要な要素のひとつが「放浪」であることは間違いな
いが、果たして「放浪する主人公たち」にヘッセは何を託したのか。
もうちょっとまとめてヘッセを読む時間が欲しいなー。こうも飛び飛び
だと、前に読んだやつを忘れてまう。










『世界のすべての七月』
ティム・オブライエン著   村上春樹 訳   文春文庫

春樹をしてその「下手っぴいさ」から目が離せないというティム・オブラ
イエン。本作は、卒業から31年目の大学同窓会に集まった、かつての
"Don't trust over 30"な学生たちが繰り広げる群像劇である。
もうお腹いっぱいになるほどのみじめさ、悔恨、みっともなさ、情けなさ
が連作短編の形で着々と積み重ねられ、とってもグロテスクなタペスト
リーが編み上げられる。読後感はあくまで胃もたれしそうなほどの「アメ
リカ的物語」であり、あまりオススメはしないが、あぁアメリカだなぁ、とい
う感じが満載の小説が読みたい時にはぜひ手に取っていただきたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿