2014年11月9日日曜日

秋に読んだ本


9月に読んだ本ですが。

『エマ』
ジェイン・オースティン 著  中野康司 訳    ちくま文庫

ちくま文庫の裏に書いてあるあらすじ。

 エマ・ウッドハウスは美人で頭が良くて、村一番の大地主のお嬢さま。
 私生児ハリエットのお相手として、美男のエルトン牧師に白羽の矢を
 立てる。そしてハリエットに思いを寄せる農夫マーティンとの結婚話を、
 ナイトリー氏の忠告を無視してつぶしてしまう。ハリエットはエマのお膳
 立てにすっかりその気になるのだが――。19世紀英国の村を舞台に
 した「オースティンの最も深遠な喜劇」

あらすじだけ読むとゲロつまんなそうだし、驚くべきことに
あらすじ以外のことは本当に起きないのだが、いつもなが
らオースティンの小説はめちゃくちゃに面白い。なぜなのか。
前にも書いたように、登場人物たちはみな定職も持たず(な
ぜなら貴族だから)、ダンスパーティーと食事会に文字通り
明け暮れ、恋愛と家の名誉と土地の管理しか頭に無い。男
女で手紙を交わすこともほとんどないので、お互いの人柄を
知る機会といえば、食事会やパーティーにおける「紳士的な
会話」に限られる。前にも書いたけど、こんな条件で恋愛小説
を書けと言われてもまず無理だろう。オースティンの小説を支
えるのは、キャラクターの造形と、鋭い人間観察なのである。

これでジェイン・オースティンの6作の小説のうち、長いの3つ
(『高慢と偏見』『マンスフィールド・パーク』『エマ』)が片付いた
ことになる。何年か前に『ジェイン・オースティンの読書会』とい
う映画があったが、私にもそろそろその読書会に参加する資
格があるかもしれない。









『女子の生きざま』
リリー・フランキー 著    新潮文庫

オースティンが描いたのが19世紀貴族の「女子の生きざま」だと
すれば、こちらはゼロ年代を生きる"女子"たちへ、リリーさんが
満腔の愛を込めて送る「指南書」である。おもろい。



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