2015年1月26日月曜日

年始の読書


『怒りの葡萄』
ジョン・スタインベック 著   黒原敏行 訳
ハヤカワepi文庫

「新訳版」に弱いもので、すぐ買ってしまいました。
読み終わってから新潮文庫の方(大久保康雄 訳)を
立ち読みしたけど、だいぶ読みやすい訳文になってい
るという印象。

読んでみると、読む前のイメージとは結構違う話だった。
私の想像では、額に汗して日々、土地を耕す農民がい
て、そこから搾取できるだけ搾取しようとする非情な資
本家がいて、資本家はあの手この手で嫌がらせをして
くる。農民たちの怒りは徐々に募る。そして遂に怒りは
沸点に達し、団結して一揆みたいなのが起こり、なんな
ら怒りの葡萄を資本家たちの顔面にスロー・アウェイ、
みたいな感じを漠然と思い描いていた。

これだと、農民と資本家という話の前提は間違っていな
いが、話の中身はまるで違う。この小説は、映画でいえ
ばロードムービーである。雰囲気としてはケルアックの
『オン・ザ・ロード』に近い。
土地を銀行によって奪われた農民たちが、アメリカ東部
のオクラホマから、果樹園の仕事があるというカリフォル
ニアへ向けて、車に家財道具を積み込んでただひたすら
移動しつづける物語なのである。

スピルバーグが映画を企画しているという。どんな映画に
するのか、楽しみだ。『リンカーン』は良かった。


















『まろ、ん? 大摑源氏物語
小泉吉宏 作      幻冬舎

マンガです。
マンガで分かる源氏物語ということで、谷崎訳の源氏を
「帚木」で挫折した(早!)ことのあるわたしのような者に
は、たいへんにありがたいマンガなのです。

下の画像で分かる通り、主人公の光源氏は栗のキャラ
クターとなっている。基本的に一帖が見開き2ページ。
一日で全部読めてしまうのが素晴らしい。そのうえ各所
に当時の官位制度や衣装(これがたぶん一番難しい)や
和歌の解説やらがあって、うーむ、これってどんだけ手間
がかかったのか、想像するのも恐ろしいほどの力作です。

池澤夏樹の日本文学全集では角田光代が源氏を訳すこ
とになってますね。2018年に完結予定。果たしてどうなり
ますやら。

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