2015年1月5日月曜日

ベストテン <旧作>


1. ドッグヴィル       L.V.トリアー      2004年
私の人生何度目かの、映画による「衝撃」だった。ギリギリの
緊張感が張りつめまくった画面は「この映画大好き」などと無
邪気に言うことを躊躇させるのに充分だが、どう観ても素晴ら
しい映画であることはどうしたって確かなのである。

2. 新幹線大爆破        佐藤純彌      1975年
「おもしろさ」「サスペンス」という点では今年1番かもしれない。
かえすがえすも短縮版で観てしまったのが悔やまれる。犯人
役、しかも爆弾魔の高倉健を見逃す手はない!

3. 八日目の蟬         成島出      2011年
赤ちゃんの頃に誘拐され、誘拐犯(永作博美)を母親と信じて
育った少女を井上真央が演じる。小池栄子も含めて、とにかく
役者がうまいこと。長尺も無駄じゃないと思わせる、秀作。

4. リアリズムの宿         山下敦弘      2004年
若気の至りで作ったバカ映画と紙一重な感じもするが、まあと
にかくおもしろい。「笑い」の映画では唯一の(『トリュフォーの
思春期』も笑わせてくれるが)ランクインであることからも分か
るけれど、ひとを笑わせるって難しいです。

5. トリュフォーの思春期       F.トリュフォー      1976年
トリュフォーに明け暮れた10月の、いちばん最後に観た作品。
捧げた1か月のすべてが報われ、何かイノセントなものに昇華
されたような、とてもすがすがしい気分だったのを覚えている。

6. ドライヴ           N.W.レフン      2012年
夜の都会を舞台にしたクライム・アクションの快作。人妻(子持
ち、夫はヤンチャなので刑務所)のキャリー・マリガンが時折見
せる憂いの表情にクラクラさせられる。ヤンチャな夫は恐いが、
「奥さん、大丈夫です。任せてください」と、つい出来もしないこ
とまで請け負ってしまいそうである。

7. 海炭市叙景       熊切和嘉      2010年
海炭市という架空の街の静謐さが、今でもありありとよみがえっ
てくる。徐々に作品の世界に引き込まれていく感覚があった。

8. イングリッシュ・ペイシェント       A.ミンゲラ      1997年
この、最初から最後までみっちり金のかかってる感じが良いと
思う。大味だけど、たまには大味なのも観たい。当ブログ公認
ミューズのひとりであるジュリエット・ビノシュが可愛い。

9. 暗殺の森            B.ベルトルッチ      1970年
正直いって内容はあまり覚えていないのだけれど、ものすごく
「名作の雰囲気」のある映画だったのは確か。雰囲気に流され
てベストテン入り。

10. 悪人              李相日      2010年
秀逸だった原作小説を丁寧に映像化していて、好感がもてる。
『平成猿蟹合戦図』も『怒り』も映画化するらしい。吉田修一は
シネフィルだから、自分の小説が映画化されるのは嬉しいのだ
ろうか。主要作品はほぼ全部映画化されているようだけど。

次点 共喰い          青山真治      2013年
こちらもけっこう忠実に原作を映像化している。しかし、最後に
付け足したシーンが余計だったような。荒井さん、生意気言って
すみません。


<講評>

こちらも、どれもとても良い映画が並んでいます。

旧作と言いつつ、新しめの映画が多かったのが去年の特徴か。
BSプレミアムで放送される映画の選者が変わったのかどうか、
本当のところは知らないが、明らかに観たい映画が減った。な
ので古い映画を観る機会が減り、レンタルしてきた、新しめの
「見逃し映画」を観ることが多くなる。

10月には有楽町に通いつめて、トリュフォー映画を13本観た。
こういう1000本ノックのような見方は私に合っているように思う
ので、これからも機会を見て映画祭や特集上映に通っていこう
と思う。学生時代のようにはいかないけれど……。


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