2016年3月16日水曜日

ペーパー・ムーン


☆☆☆★★    ピーター・ボクダノヴィッチ   1973年

詐欺まがいの聖書のセールスで生計を立てている男(ライアン・オ
ニール)が、母親を亡くした女の子アディ(テイタム・オニール、ライ
アンの実の娘)を親戚の家まで送ることになる。さっさと送り届けて
厄介払いするはずが、その道中で詐欺が発覚しそうになるピンチ
をアディの機転で救ってもらったりしているうちに、だんだんと商売
上でもかけがえのないパートナーになってくる。徐々にかりそめと
はいえ親の愛情がめばえてくるのだが…。

ひょんなことから小さい女の子と旅をする羽目になったしがない男、
というとヴィム・ヴェンダースの『都会のアリス』を思い出す。調べて
みると、どちらも1973年の映画で、どちらかがどちらかに影響を受
けたわけではないらしい。ただ、『ペーパー・ムーン』の試写を観た
ヴェンダースは、あまりに内容が似ているため『都会のアリス』の
撮影を中止しようかと本気で考えたという。その結果、後半の脚本
を書き直したとか。

これで心が暖まらない人間はいない!というぐらいハート・ウォーミ
ングなロードムービーである。
この辺の「こまっしゃくれた女の子」のキャラクターは、『ダンス・ダン
ス・ダンス』の「ユキ」の造形に少なからず影響を与えていると見た。
少なくとも、ユキがタバコを吸うのは、この映画からのいただきじゃ
なかろうか。女児の健康ではなく、「火事になる」と男が心配するの
も一緒である。

                                                                3.10(木) BSプレミアム


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