2016年8月28日日曜日

青いパパイヤの香り


☆☆☆★     トラン・アン・ユン    1994年

サイゴンの裕福な家庭で、少女のムイが使用人として働きは
じめるシーンからはじまる。かつて幼い娘を亡くしたことのある
一家は、ムイを大切に扱うが、同じぐらいの年ごろの末っ子は
どうやら好きなコに意地悪をするタイプらしく、バケツの水をこ
ぼしたり、トカゲで脅かしたりと、何かとちょっかいかけてくるも
のの、ムイはおとなの余裕で受け流す。その辺りのシーンもほ
ほえましい。
成長したムイは別の役者が演じていて、『夏至』の主役のコと
同じであった。調べると『ノルウェイの森』以外の作品にはすべ
て出演しているようで、監督のミューズなのだろう。

みんな口数が少ないうえに声も小さく、虫の音のほうが大きい
ぐらい。若い女が髪を洗うというシーンは『夏至』でも何度か
あったモチーフで、監督の嗜好と思われる。今はやりの言葉
でいえば、「性癖」か。
執拗なまでに横移動のトラックショットが繰り返されるのも、こ
の映画の特徴である。ムイが働く家は、実際サイゴンにあって
もおかしくないように見えるが、フランスに建てられたセットと
のこと。

                                                                 8.20(土) DVD


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