2016年8月12日金曜日

シン・ゴジラ


☆☆☆★★★     庵野秀明     2016年

恐ろしいほどのテロップとセリフを詰め込んだカットと、セリフ
は無いけれども雄弁なカットと、破壊の限りを尽くすゴジラと、
それらが渾然一体となった120分に目がまわりそうだった。
ああ、この短いカットにどれだけの手間と時間と金がかかっ
ているか…。そういうのが少しはわかるだけに、この映画に
かけるスタッフの情熱と気迫をビシビシ感じずにはいられな
かった。そして何よりも、すべての設計図を描いた庵野秀明
という天才の、想像力。どうなってるんだよ、ほんと。
観ながら感じたのは、「カメラがいてほしいなと思う場所に、
カメラがちゃんといる」ということだ。ゴジラに踏みつぶされる
家に住んでいたひと、ゴジラになぎ倒されたビルで働いてい
たひと、鉄橋が飛んできた時の戦車の中…。ディテイルの積
み重ねがリアリティを生むというのもあるし、何より誠実さが
伝わってくる。スピルバーグの『宇宙戦争』でも思ったことで
あるが。

役者は、言葉は悪いけれど、使い捨てのように豪華俳優が
現れてはすぐ消えていった。「あ、こんなひと出てるんだ」と
思う暇もなく……。
石原さとみは、欲しいものは何でも手に入れてきたアメリカ
育ちのスーパーエリートの役だったが、頑張って見ればそう
見えなくもなかった。

                            8.6(土) TOHOシネマズ 市川コルトンプラザ


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