2016年12月19日月曜日

アズミ・ハルコは行方不明


☆☆☆★★    松井大悟    2016年

「その日」は思いがけずやって来た。
ついに…、ついに私にも"同い年の監督"の映画を観
て、しかも「感心する」日がきたのである。うわー。

おおげさな出だしですいません。
石井裕也がたったの4コ上だから、早晩そういう日が
来るとは思っていたが、けっこう早かった。

なかなかよく出来た映画だ。原作はあるにしても。
蒼井優のスプレー画が非常に役割としても重要だが、
グラフィティ・アートとしてなかなかカッコいいので映画
に説得力を加えている。
手持ちカメラが多用されているが、嫌じゃなかった。む
しろ使いどころを心得て、効果的だったと思う。
時系列がバラバラになっていて、どういう話か筋道たて
て説明しろと言われると実はよく分からなかったので困
るのだが、私の苦手なフードプロセッサー映画(『渇き。』
『ナチュラル・ボーン・キラーズ』など)みたいな感じでは
なかったので安心。要はルサンチマン渦巻く地方都市
におけるたくましい女子たちの話である。

蒼井優はあいかわらず巧いけど、今回は高畑充希に
持って行かれたか。絶妙の演技だった。映画を観てい
て純粋に「うわ、うぜー」と思ったのは、『悪人』の満島
ひかり以来である。
加瀬亮はムダづかいではないか。あんなチョイ役で。
石崎ひゅーいは拾いものというか、鬱屈ぶりがなかな
か良かった。

                                              12.8(木) 新宿武蔵野館


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