2016年12月4日日曜日

天国の日々


☆☆☆★★★    テレンス・マリック   1978年

季節労働者、といえばいいのだろうか。
麦や綿花、果樹園など、収穫のある時期だけ各地からやって
来て日銭をもらいながら労働し、収穫が終われば、また各地
へ散ってゆく。
そんな決して豊かとはいえない暮らしをしていたビルとリンダ
の兄妹と、ビルの恋人のアビー。ビルはリチャード・ギア。
ある時、アビーが大農場の若き当主に見初められるが、ビル
は同時に彼の余命が長くないことを知る。ビルはひとまずア
ビーを結婚させ、農場主が死ぬのを待つ、という計画を思い
つく。

一度結婚した、つまり計画はスタートしたのだから、ビルとア
ビーは当然軽はずみな行動は厳に慎むべきである。しかし
そこは映画。いちゃいちゃしている所を見られ放題で、夜中
に湖で逢引きしたりなんかして、脇が甘すぎる二人なのであ
る。

とはいえこの映画の主役は、季節によってその表情を移ろわ
す農場の美しい風景である。同時に、それを絵画のように説
得力のあるカットとして切り取ったカメラである。農場がイナゴ
の大群に襲われるシーンもある。どうやって撮ったんだろう。
そうとう手間はかかってるだろうが、かけただけのことはある。
美しく壮絶なカットの連続には息をのむばかり。

音楽はエンニオ・モリコーネ。
だけどオープニングはサン=サーンス。「あれ、これって有名
だけどモリコーネだったっけ?」と思うこと必至である。

                                                        11.23(水) BSプレミアム


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