2020年1月25日土曜日

読書①


タイで読んでいた本を2冊。
とはいえ旅行中って、飛行機以外では読書は
捗らないものである。行きはともかく、帰り
の便は23:15発だったので、機内はほぼ寝て
いた。もちろん下記の2冊すらも読み切れず
に、帰国してから大半を読んだという…。


『悲しき熱帯 Ⅰ』
レヴィ=ストロース 著 川田順造 訳 中公クラシックス

この本に出て来る「熱帯」は主にはブラジル、
そして少しだけインドのことであって、タイ
などまったく出て来ないのだが、まあそれは
よいではないか。タイだって熱帯には変わり
ない。

とても名高い著書だが、この文章を民俗学の
調査報告のような、論文のような物だと思っ
ているひともいるだろう。かくいう私がそう
だったのだが…。もちろん民俗学の調査のた
めにレヴィ=ストロースが南米を訪れた時の
体験が綴られているのだが、実は書かれたの
は調査行から15年以上も経ってからなのだ。
「私は旅や探検家が嫌いだ」
という文章から始まる風変わりな旅行記のよ
うな本書は、出発する船の描写から始まり、
いかにもフランス語の文章といった感じの、
修飾の多い、まわりくどい文章でもって、そ
の15年の間にいろいろと思索したことが付け
加えられて、盛大に脇道に逸れて行き、いつ
まで経っても調査内容にはなかなか踏み込ま
れない。










『夏の闇』
開高健 著    新潮文庫

この小説の主人公がヨーロッパの(おそらく
ドイツと思われる)街にいながら、しばしば
凄惨な戦争の情景に精神を蝕まれているのは
あくまで「ベトナム」の戦場であって、タイ
はまったく関係ないのであるが、まあそれは
よいではないか。

戦場から脱出し、女と再会して怠惰な日々を
送る主人公は、『輝ける闇』を書き上げて目
的を一時喪失した著者自身を投影していると
のこと。あれ、しまった、こっちから先に読
んじゃったよ。しかしソファの窪みと体が一
体化していくらでも眠れてしまう描写など、
なかなかおもしろい。久しぶりに開高健を読
んだが、かなり変わった文体ですね。

これまた相当に長いあいだ本棚でくすぶって
いた1冊。申し訳ない。




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