2020年1月31日金曜日

ラストレター


☆☆☆★★★    岩井俊二    2020年

岩井俊二は「老成」していくタイプではない
ようだ。いち観客としては、長尺の『リップ
ヴァンウィンクルの花嫁』がわりと「すべて
出し切る」ような作品に見えたというのもあ
り、次はどういう感じでくるのか、若干ハラ
ハラしながら待っていたということもある。
まあトヨエツと福山の対決シーンなどは、あ
の異色の『ヴァンパイア』を経て、こういう
"多角的な悪"も描けるようになったのか、な
どと感慨にふけりながらながら観ていたわけ
だが、まあそれほど壮絶なシーンにはなって
おらず。逆に高校生の恋愛が主軸にある今作
は、これまでになく甘ったるいというきらい
は有るには有るかもしれない。
しかしながら、「変わらないなぁ」と嬉しく
なってしまう「幸福な瞬間」は幾度も訪れ、
おおいに満足であった。岩井俊二特有の、ひ
とつめの話が落ち着かないうちにどんどんと
次の話に転がっていき、それがまだ片付くか
片付かないかの時に小さな事件が起きてまた
そちらに転がっていく。そしてそれがなぜか
気持ちいい、という感覚なのであった。

そして毎度同じ話で恐縮だが、女優がキレイ
に撮れていればその映画は成功、である。

                               1.17(金) 新宿ピカデリー


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