2021年4月19日月曜日

新宿泥棒日記

 
☆☆☆★★     大島渚     1969年

渋谷のシネマヴェーラにて大島渚の特集上映。
期間中はできるだけ通うことにする。

最初が『新宿泥棒日記』となったのは単に時
間が合ったからに過ぎないが、圧倒されるよ
うな熱量をたたえた過激なフィルムであった。

全篇にわたって唐十郎が朗々と唄う奇妙な歌
が繰り返し流れる中、紀伊國屋書店で本を万
引きする横尾忠則。それを見咎める横山リエ、
店長のところに連れていくと田辺茂一そのひ
とが拙い(失礼!)芝居をしている。
状況劇場の紅テントのカットがはさみこまれ
たり、セックスについて延々と語り合う、い
ま観ると「ナンセンス!」としかいえない議
論をながなが聞かされたかと思えば、フーテ
ン族が寝転んでいる53年前の新宿の街並みに
思わずハッとさせられる。まさに新宿という、
私自身がいちばん足繁く「文化」を求めて通っ
ている街の、ある一瞬を鮮やかに切り取った
映画は、新宿騒乱のきっかけとなったという
交番投石事件を映したあと、断ち切られるよ
うにプツリと終わっている。

                             4.5(月) シネマヴェーラ




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