2021年11月25日木曜日

風が吹くまま

 
☆☆☆★ アッバス・キアロスタミ 1999年

首都テヘランから、クルド系の小さな村を
訪れたテレビ・クルー。彼らは変わった風
習の村の葬儀を撮影するために、数日間の
予定で来たのだったが、あたりを付けてい
た危篤の(はずの)老婆には、数週間経っ
ても死はいっこうに訪れず、ディレクター
はクルーからもテヘランからもせっつかれ
て苛立ちを深めていく。
とはいえ深刻なトーンは一切なく、無常観
の漂う村でひとり右往左往する都会人の姿
が淡々と描かれる。意図的にディレクター
以外のクルーの姿はまったく見せず、カメ
ラに写るのは奔走するディレクターとのん
びりした村人たちだけ。

移動電話も簡単にはつながらなず、テヘラ
ンから電話がかかってくると「切らないで
待って!」と叫びながら村で一番高い丘ま
で車を疾走させなければならない。これが
またキアロスタミ的なジグザグ道で可笑し
い。

                     10.28(木) ユーロスペース




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