『新版 レミは生きている』
平野威馬雄 著 ちくま文庫
NHKの番組で、平野レミが「父の著書」と
紹介していたので初めて知った。
ただ平野レミが「レミ」と名付けられたこと
と本書はあまり関係ないとのこと。
書き出しを引こう。
日本の少年少女に、ほんとうのことをわ
かってもらいたいと思って、この本をかき
ました。
おなじ人間として生まれながら、顔かた
ちがかわっているというだけで、差別あつ
かいされ、毎日、悲しい思いでくらしてい
る「混血児」にかわって、ぼくは、この本
をかいてみました。
ぼくも混血児です。でも、ぼくなんか、
まだまだ幸福でした。
と始まるこの本は、著者自身の幼年時代、青
年時代を振り返って書かれた自伝的小説であ
る。エッセイといったほうがいいか。
混血児として差別を受けながら育ち、長じて
フランス文学者となり、めぐまれない混血児
のために尽くした。
『おとうさん、いっしょに遊ぼ』
『おとうさん、いっしょに遊ぼ 2 フランス望郷編』
じゃんぽ~る西 作
『レミは生きている』が昭和の混血児の受難
を書いた作品であるなら、フランス人のジャ
ーナリストと結婚した日本人漫画家による子
育てエッセイであるこちらは、令和の「ハー
フ」事情を描いた、と言えなくはない。しか
しこちらには差別のさの字も出ては来ず、こ
とさらハーフだから得をしたという記述も無
ければ、不当な差別を受けたという記述も、
まったく出て来ない。それだけ社会が変わっ
たということだろう。
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