2015年5月28日木曜日

春の読書②


『百日紅』
杉浦日向子 作      ちくま文庫

マンガです。映画化を機に読んでみた。
葛飾北斎とその娘お栄をめぐる物語、1話完結の短篇
集である。かなり極端な性格の親娘だったのは事実ら
しく、粋でぶっ飛んだその生活が描かれる。江戸文化
の研究者でもある杉浦日向子だけあって、さまざまな
江戸の風俗が描写してあり、そちらもおもしろい。









『人間の絆』
サマセット・モーム 著  中野好夫 訳   新潮文庫

長かったー。ダラダラ読んでいたら1か月以上かかって
しまった。モームのすべてを注ぎ込んだと言われる大長
編、文庫版で1324ページの大著であるが、正直言って
最後の200ページまで、いまひとつシャープさに欠ける
ように思いながら読んでいた。短篇のあの冴えはどこへ
行ったんだ、と首をかしげながら、普通ならたぶんやめ
ているけれど、これからモームは読んでいく、と宣言し
た以上は簡単にやめるわけにもいかず、我慢して読み
進んだ。
もう終わりの方になり、主人公が人生の意味について
考えるようになってから、ようやくエンジンがかかったよ
うに思った。そこからは本当におもしろくて一気に読ん
だ。作中人物のクロンショーという詩人が「人生とはペ
ルシャ絨毯のようなもの」と主人公のフィリップに謎をか
ける場面が出て来るのだが、これは有名な一節らしい。
私は知らなかったが。


0 件のコメント:

コメントを投稿