2015年12月3日木曜日

恋人たち


☆☆☆★★      橋口亮輔        2015年

モルモット吉田さんが今年のベストワンと断言していたので観に
行った。『ハッシュ!』も『ぐるりのこと。』も未見なので、お名前は
よくうかがっていたが、橋口監督(の作品)とは初対面。いくら観
ても、世の中には観るべき映画が際限なくありますね。

それぞれに、村上春樹的にいえば「損なわれてしまったもの」を
抱えながら懸命に生きる3人を、あわく交叉させつつ描く作劇は、
たしかに見事な手腕。危なげない。橋梁の補修をする兄ちゃん
と、雅子様を見に行った時のビデオを繰り返し見ている主婦に
対する監督の視線は優しいが、ゲイの弁護士に対してはなぜか
厳しい。まあいけ好かない奴なんだけど。
演じる3人はみな、ワークショップで橋口監督が見出したシロウト
同然の役者とのこと。3人とも素晴らしかった。

それでも点が伸びないのは、どうしても観ている間、つい「みみっ
ちいなー。映画ってもっと華やかな方が好きだなー」という思いを
禁じ得ないから。なんというか、祝祭性というものが欠片もないで
しょう。もちろんそういう映画があってもいいのだが、私はベストワ
ンにはしない。

                                                         11.25(水) テアトル新宿


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