『NOVEL 11, BOOK 18』
ダーグ・ソールスター 著 村上春樹 訳 中央公論新社
タイトルからしてすでに奇妙だが、中身も相当にヘンである。
ダーグ・ソールスターは、ノルウェイではれっきとした国民的
作家らしいが、本邦にはこの村上春樹の翻訳で初めて紹介
されたとのこと。もちろん元はノルウェイ語なので、英語から
の重訳になる。それじゃあダメなんじゃないかと春樹も悩んだ
らしいが、それでも翻訳してみたいという気持ちがまさったと、
あとがきにある。
段落分けがまったくなく、語り口はずーっと同じ調子で淡々と
変わらない。改行も、読みやすいように春樹が適当に増やし
たが、本来はもっと少ないらしい。
ノルウェイのコングスベルグという街を舞台に、最初はビョー
ン・ハンセンとツーリー・ラッメルスという中年の男女を中心に
話が進む。が、途中で急にツーリーは退場して、ビョーンの息
子のペーテルが登場し、あとはそのまま最後まで。
いったいどういう話なのか、説明することにあまり意味はない
と思う。ただ、ペーテルが登場してからの方がおもしろいので、
途中でやめない方がいいです、というのだけは言っておく。
『本当はこんな歌』
町山智浩 著 アスキー・メディアワークス
「週刊アスキー」に連載されたコラム。
毎回、洋楽の曲をとりあげ、「実はこんなこと歌ってるんですよ」
と解説するという、なかなかありそうでなかったコラムである。特
にアメリカの抱える病理とか社会問題をさりげなく(でもないか)
織り込んだ曲を取り上げているので、いつもの町山さんのコラム
とテイストは一緒である。
もっと知ってる曲が多いと「へぇー」も増幅されただろうが、当方
それほど熱心な洋楽ファンでないため、知ってたのはほんとに
数曲。それでも、ひとつ読んではYouTubeで曲を聴く、という作
業に思わず熱中してしまった。
私の世代だと、エミネムの"Stan"、レイジ・アゲインスト・ザ・マ
シーンの"Sleep Now In the Fire"、エアロスミスの"Walk This
Way"あたりは、洋楽ファンならずとも知っているのでは。
これら3曲も、解説を読むと「へぇー」となること請け合いである。
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