2015年12月28日月曜日

母と暮せば


☆☆☆★★        山田洋次      2015年

井上ひさしが「父と暮せば」と対になるように構想していた
という長崎が舞台の「母と暮せば」。遺志を継いで、山田
洋次が実現させたという。ただし題名と、長崎が舞台とい
うこと以外は、山田洋次がオリジナルで作りあげた物語ら
しいよ。

たぶん今年最後の映画になると思うのだが、まさか嗚咽
をこらえながら観ることになろうとは思わなかった。くそう、
泣けたぜ。「父と暮せば」の関係性をひっくり返しただけな
ので、予想を超える展開なんかはひとつもないのだが、
それでも泣けて仕方なかった。やっぱり男は「母子もの」に
本質的に弱いんだろうか、と分析してみたのだが、先に観
た友人にはまったく刺さっておらず、逆にビックリ。あいつ
が冷血なのか、俺が単に涙腺がユルユルになってきてい
るだけなのか……。

ひさしぶりにこんなにウェットな邦画を観たが、なんという
か、いやなウェットさではない。やはり山田洋次のウェット
さなのである。
坂本教授の音楽は映画を邪魔せず、しかし絶妙な和音で
芝居を補強する。さすが。

                                                12.16(水) 新宿ピカデリー


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