2017年12月21日木曜日

読書⑫


『秘密の花園』
F. H. バーネット 著  畔栁和代 訳 新潮文庫

これも「題名は知ってるけどどんな話か知らない」
シリーズの一環で読んでみた。

インド生まれの偏屈な少女メアリ、こころ優しき野
生児ディコン、そしてみずからを奇病と思い込んで
いるコリン、3人の子どもと庭園をめぐる物語である。
「バスカヴィル家の犬」のように、ムーアと呼ばれ
るイギリス独特の地形(荒野)が物語の中心に据え
られ、広い屋敷の中のよく手入れされた庭園と対比
をなしている。庭園の塀に囲まれて、ある理由から
長い間放置された「秘密の庭園」がある、というわ
けである。
児童文学といえども、どことなく、たしかにイギリ
ス文学の香りがするのが、さすがイギリスであった。








『冥土めぐり』
鹿島田真希 著   河出文庫

芥川賞受賞作が文庫になると一応買うのだが、あま
り読まない。優先的に読もうという気になれないの
である。ときどき、こうして思い出したように読む。

ある日突然、障碍者になってしまった夫と一緒に、
熱海か箱根か分からないがあの辺の温泉地に旅行に
出かけ、幼い頃に憧れだった高級ホテルに泊まって
帰って来るという小説である。全体にいやーな感じ
が漂っているのはなんだろう。主人公が心中か自殺
を決意して出かけるが、それを思いとどまる話だと
私は思ったのだが、はっきりとそう書いてあるわけ
ではない。

他に「99の接吻」を収める。去年のトルコ映画の
「裸足の季節」を思わせる姉妹の話。もっとずっと
陰湿だが。

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