ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
☆☆☆★★★ スティーヴン・スピルバーグ 2018年
新聞がまだ辛うじてメディアの王様だった時代と
いえるだろうか。それとももうテレビにその座は
明け渡していたのか。いずれにせよ、言論機関と
しての新聞が社運をかけて政府の秘密を暴き、大
統領は本気でその報道を阻止しようとした。
ワシントン・ポストの社主を演じるのはメリル・
ストリープ。彼女が画面に居るとなぜこんなに安
心してしまうのか。ただの画面が絵になる感じ。
ずっと観ていたいと思わせられる。
いよいよ政府を転覆させるほどのスクープを印字
すべく、輪転機がまわり始めるカットには実にワ
クワクする。輪転機の振動が夜明けの社屋全体に
伝わり、記者は手ごたえを嚙みしめる。活字が権
力を倒す、そのことを象徴するカットである。
政府との裁判の果て、最高裁を出るメリル・スト
リープが掻き分ける群衆はみな女性ばかり。そし
て誰もひと言も発しない。この演出にはシビれた。
マクナマラ国防長官による仮借ない大統領批判が
おもしろい。曰く、
ニクソンはクソだ。あらゆる汚い手を使って、
君に圧力をかける。新聞社を潰したがってる。
うちにもこのぐらいの気概のある官房長官がいれ
ばなー。
8.11(土) 早稲田松竹
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