☆☆☆★★★ ウェス・アンダーソン 2018年
近未来の日本を舞台にストップモーション・アニメで描か
れた、少年と犬たちの絆の物語。……と書くと全然おもし
ろそうじゃないが、これは言語をめぐる極めて精緻な仕掛
けに満ちたエクリチュールでもあるのである。
すいません、エクリチュールって言いたかっただけでした。
基本的に登場人物は日本語でしゃべる。かなり聞きづらい
のだが。一方、犬たちの声は英訳されている、と最初に断
わりが出る。よってわたしたちは犬のセリフは字幕で、人
間のセリフは日本語で聞き取ることができるが、劇中の人
間と犬はほとんど言語によるコミュニケーションはできな
いという、変わった状況なのである。美術の仕事も素晴ら
しく、背景や小道具にも注意を向けたいものが山ほどある。
処理する情報は膨大でついて行けてないことしばしだが、
これがなかなか快感であった。
動作音(Foley)がとても小気味いい。足音の一つひとつ、
衣擦れの一つひとつに付けていくことを考えると気が遠く
なるが、キレのいいFoleyがテンポ良く見せることに貢献
している。優秀。
10.6(土) 早稲田松竹
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