2018年11月10日土曜日

孤狼の血


☆☆☆★     白石和彌     2018年

『娼年』との2本立て。
観始めてからようやく「松坂桃李の特集だったのか!」
と気付く。今年やたらと評判の良かったこちらでも主
演を張ってたとは。知りませんでした。

映画に呉という土地が出て来るとつい菅原文太の顔が
浮かんでしまい、「こんな(=てめえ)」「チンコロ
(=密告)」といった広島弁を聴くと胸がときめきで
キュンキュンする、そんな人間たちのために、そんな
人間たちが作った映画であろう。ストップモーション
と事務的なテロップと無感情なナレーションによる事
件の処理などを見るかぎり、もう『仁義なき戦い』へ
のオマージュどころではなく、続編を作ったるわぐら
いの勢いである。

まあおもしろかったのだが、それにしては私の採点は
厳しすぎるだろうか。しかし、ここまで『仁義なき戦
い』の褌を借りて相撲を取っている以上、それはヤク
ザ映画としては最初から下駄をはいているのであって、
評価はより厳しくなるのは当然だと思う。役所広司の
めちゃくちゃな刑事の演技といい、生真面目な松坂桃
李がだんだんとその"流儀"に染められて、遂にはそれ
を継承するに至る流れなど、すばらしかったシーンは
たくさんあるのだが、いま一歩、突き抜けなかった印
象。しかし最後の墓のシーンの阿部純子は全部アフレ
コだよね? なぜなんだろう。

                                             10.26(金) キネカ大森


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