2019年2月8日金曜日

読書①


『東京奇譚集』
村上春樹 著    新潮文庫

ずいぶん久しぶりに読んだ。
もちろん、『ハナレイ・ベイ』の映画を観たから
である。
初読の印象は「偶然の旅人」と「ハナレイ・ベイ」
は良いけど他はどうも…、と思い、再読でもあま
り印象は変わらなかったが、三読してみて、案外
どれも粒ぞろいの優れた短篇集だと思った。特に
「日々移動する腎臓のかたちをした石」は、最後
の種明かしにずっこけて、それしか印象に残らな
かったのだが、落ち着いて読むとキリエという女
は魅力的だし、会話も冴えている。小説内に登場
する小説も、なんとなく『多崎つくる』を思わせ
ておもしろい。









『困難な結婚』
内田樹 著   アルテスパブリッシング

結婚とはつまるところ"安全保障"である。
なんだか語弊がありそうだが、この本で繰り返し
語られているのはそういうことだ。
例の決まり文句として耳に馴染みのある「病める
ときも、健やかなるときも。貧しきときも、富め
るときも」。たしかによく考えるとこのうち「健
やか」なときと「富める」ときは別にパートナー
がいようといまいと問題ないのだ。問題は「病め
る」ときと「貧しき」ときに、支えてくれるひと
が必要だから結婚するのだ、という主張である。
人生の危機を生き延びるための安全保障。堂々と
そう言い切って、自身の離婚にも言及しながら決
して「ヤな感じ」にはならない。やっぱり、たっ
ちゃんはおもしろいなー。



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