2019年8月29日木曜日

バベル


☆☆☆★★   A. G. イニャリトゥ  2007年

モロッコ、メキシコ、日本、それぞれの場所で
進行しつつある悲劇、それもタイトルになぞら
えて「言葉が通じない」がゆえに何倍にも増幅
された悲劇を交互に行き来しながら紡がれてい
く物語。本当に絶望的なフィルムというか、救
いはことごとく拒絶され、希望は光を失い、だ
れもが孤独の中に取り残される。あるいは不運
にも命を落とす。それもこれも人類がバベルの
塔なんか作ろうとした報い、ということか。
『21グラム』『バードマン』『レヴェナント』
とこの人のフィルムを観ているが、安易な物語
を徹底的に拒絶する姿勢は一貫している。

菊地凛子の好演が光っている。JKという鎧を意
気揚々と身に付けた姿と、弱さと不安に押しつ
ぶされそうな少女を体現してすばらしい芝居を
していると思う。

                                  8.9(金) BSプレミアム


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