☆☆☆ ステファニー・アルゲリッチ 2014年
不世出のピアニストである母に、娘がカメ
ラを向ける。幸いマルタ・アルゲリッチさ
んは、藝術家にありがちな気難しいひとで
はなさそうで、寝起きの顔を撮られてあれ
これ過去のことを質問されても、さほど嫌
がりはしない。ピアニストとしては鮮烈な
デビューからずっと第一線に立ち続けてお
り、村上春樹は短篇「謝肉祭」の中で
「マルタ・アルゲリッチの演奏する『謝
肉祭』をいつか聴きたいと望んでいる人
間は僕一人ではあるまい」
と主人公に語らせているから、きっと高く
評価しているんだろう。
娘が3人いて(ステファニーは3番目)、父
親はみな違うのだが、4人でピクニックに
行く場面が印象的である。「いろいろあっ
たけど、まあとりあえずみんな大人になっ
たわね」みたいな、わりとドライな空気で、
誰も泣いたりしないのが良い。
コンサートの直前に「今日は演奏できない」
「ひどい出来になる」とぼやくアルゲリッ
チと、もう毎度のことで慣れっこらしい雰
囲気のマネージャーが軽く受け流してステ
ージに送り出すのがおもしろかった。
8.23(日) BSプレミアム
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