2020年9月21日月曜日

僕は猟師になった

 
☆☆☆★★  川原愛子   2020年

「ノーナレ」で放送された「けもの道 京都
いのちの森」を、300日の追加取材を行い、
映画版として再編集したドキュメンタリー、
とのこと。京都の山奥と住宅地の「ちょうど
間ぐらい」に住み、1年のうち4か月間だけ解
禁される「わな猟」で仕留めたイノシシやシ
カの肉を家族の食糧として大事にいただく、
千松信也さんの暮らしに密着する。「ノーナ
レ」の方は見逃したのでこの映画だけだが、
おもしろかった。山で脚を骨折したけど手術
せずに自然に治そうとするのは追加取材の時
に起きたらしい。

なるほどわな猟とは動物の行動パターンを読
むことだが、むやみに大きい罠を仕掛けるこ
とは法律で禁じられており、ほんの30cmと
なりを歩かれるだけで罠にはかからない。ま
さに動物の1歩1歩を読むぐらいの精度が要求
される。「現場」に残された昨夜の足跡や、
わずかなくぼみから「ここで水を飲んで泥を
撥ねて、このへんは鼻をすりつけながら歩い
て…」と動物の動きを再現してみせる千松さ
んは、さながら「臭い」だけで犯行を再現す
るスニッファーのようである。

                            8.25(火) ユーロスペース




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