2022年5月28日土曜日

マイスモールランド

 
☆☆☆★   川和田恵真  2022年

なんとも複雑な気分になる映画である。
以前に名古屋入管の実態に関するドキュメン
タリー「面会報告」を観たときは、こんな非
合理で非人道的なことが許されていいのかと
思ったが、それも時が経つとだんだん忘れて
いってしまうのが現実である。

本作はクルド人の難民の親子の生活が、主に
嵐莉菜の演じる高校生の視点で描かれる。父
や弟妹の役も、嵐莉菜のホントの家族が(一
応オーディションを経て選ばれたというが)
演じる。良い空気感が出ているシーンもあっ
たにはあったが、いかんせん全員芝居が学芸
会レベルであるのは、まあそういうキャステ
ィングをした時点で望むべくもないことか…。

役に立ちそうで、あまり有効な働きをしてく
れない平泉成の弁護士に苛立ちが募るが、理
屈の通じない入管という時代遅れの特殊な組
織には、ああやって気長に、多くを期待せず
に相対していくしかないのだろう。

また新谷ゆづみが出てきて、すごくビックリ
した。というのも、今年映画館に観に行った
邦画はまだ4本で、そのうち3本に(『麻希の
いる世界』、『やがて海へと届く』、本作)
新谷ゆづみが出演している! 私は新谷ゆづ
みに導かれるようにして日本映画を観ている
のである…。

                           5.10(火) 新宿ピカデリー




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