2014年9月3日水曜日

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち


☆☆☆★★        ガス・ヴァン・サント     1998年


上質な人間ドラマという趣きで、「喧嘩っぱやい街のチンピラが実は
数学の天才」という突飛な設定も、うまく消化しており違和感はさほど
無い。マット・デイモン、ベン・アフレック、この秀逸な脚本を手がけた
若き二人の演技もナチュラルだし、先ごろ自死したロビン・ウィリアム
ズはさすがの名演。

観るまで題名の意味が全然分からなかったのだが、「ウィル・ハンティ
ング」というのが主人公の名前なのか。ウィルもハンティングも助動詞
と動詞にあるから紛らわしい。だから「旅立ち」と付けたのかな。それに
してもね。


全然関係ないけど、こないだ久しぶりに池袋のジュンク堂に行った。
各フロアの丁寧な陳列と圧倒的な物量を眺めているうちに、あれも読み
たいこれも読みたい、もう本だけを読んで1週間過ごしたいという、けっ
こう切実だが実現可能な欲望が頭をもたげてくる。夏休みは取らなかっ
たので、冬あたりに休みをとって、ほんとにそうしたいな。
「その1週間で読む本」を妄想するだけで楽しい。アーヴィングの新しい
やつ、ジェイン・オースティンの未読のやつ、漱石は『道草』だな、『族
長の秋』とか『白鯨』とか『花のノートルダム』とか『荒涼館』とか『挽歌』
とか『火山の下』とか『ピンチランナー調書』とか、長年わが本棚に鎮座
しているだけのやつらも読んであげたいし、山田宏一も四方田犬彦も
高島俊男も高峰秀子もミラン・クンデラもカズオ・イシグロもリルケもヘッ
セもまだまだあるし、たまには吉田修一も読んでやってもいいし、ドスト
エフスキー『未成年』もあるし、うーん、結局1週間じゃ全然足りんな。

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