☆☆☆★★ 市川崑 1958年
つづけてもう1本。
これはおもしろかった。
原作はごぞんじ三島由紀夫『金閣寺』。
恥ずかしながら三島は一冊も読んだことがないのだが、
どういうわけか話の内容は知っている。
近年、うら若き女子たちの間でも人気が再燃していると
聞こえる市川雷蔵が、初の現代劇に挑んだ映画である。
共演はまたも中村鴈治郎。
どうにも気が弱く、吃音という悩みを抱える青年僧を演
じるのが雷蔵。どもりの青年というと『ノルウェイの森』の
突撃隊を思い出す。金閣寺は劇中では驟閣寺と名前を
変えられている。原作があるのに、何に対する配慮なの
だろう。
私にはコンプレックスの塊のような「どもり」のこの男が、
安倍晋三に重なって見えて仕方なかった。ごぞんじの
通りこの青年僧は、驟閣寺の美しさを永遠のものにす
るため、火を放って焼いてしまうわけだが……。
2.3(水) 角川シネマ新宿
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