2016年2月7日日曜日

チャルラータ


☆☆☆★            サタジット・レイ        1964年

インド映画の巨匠、サタジット・レイの特集。
といっても私にはまったく未知の監督。
インド映画といえば、歌や踊りで騒々しいイメージだが、この
映画はまったくそんなことはなく、丁寧に人の心の機微を描い
た静謐な映画である。こんなインド映画が60年代からあるん
だね…。こういう特集を組むのが早稲田松竹。啓蒙的なので
ある。

舞台は1880年、カルカッタ。チャルラータは上流階級に属す
る夫人である。マドビ・ムカージーという女優らしいが、ちょっ
と久我美子に似ている。
裕福なので、家も広く、メイドとかもいて、基本的にヒマである。
有閑マダム。刺繍をしたり(下画像)、小説を読んだりする。
夫は政府に批判的な新聞社の社長をしており、忙しい。そし
てチャルラータが読むような小説はバカにしている。
そこに夫の従弟で、これまたヒマをもてあましている大学生の
アマルが、夏休みの間、逗留することになる。文学や音楽に
素養のあるアマルはチャルラータと話が合い、チャルラータは
次第に、あくまで自然に、アマルに親愛の情を抱くようになるよ
うなのだが……。

なんか漱石みたいな話だな、という第一印象。
このアマルの方を主人公にすれば、『行人』に似ていなくもない
ような。いずれにせよ、こんな地味なインド映画もあるのである。

                                                          2.2(火) 早稲田松竹


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