2022年2月3日木曜日

憂鬱な楽園

 
☆☆☆★     候孝賢   1996年

汽車の中から始まる物語は、その後も自動車、
バイクなどの移動手段を使いながら台湾を移
動する。湿気の多い、活気と倦怠が同居した
ような台湾の風景は魅力的で、主役の3人が
ひたすら台南へバイクを走らせるシーンの幸
福感は得がたいものがある。
長回しを多用して、説明も少ないので、スト
ーリーは正直言ってよく分からない部分も多
い。とにかく閉塞感を打ち破るべく行動を起
こすが、逆に打ち負かされ、また別の閉塞感
に囚われる、ということらしい。
しかし『非情城市』をすでに撮った監督であ
ることを忘れるくらい、粗削りなロードムー
ビーである。「円熟」から逃れようとするか
のように。

                                 1.16(日) 早稲田松竹




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