2020年8月3日月曜日

劇場


☆☆☆★★   行定勲   2020年

山﨑賢人と松岡茉優と下北沢。
これだけで映画の要素の95%を占めている。
ふたりの部屋と、下北沢をほっつき歩く山﨑
賢人が繰り返し繰り返し描写される。

演劇で食べていくために友人と上京し、劇団
を旗揚げした山﨑。その劇団も行き詰まりを
迎えていた時、松岡と出会う。彼女の独特の
感情表現に興味を惹かれ、アテ書きで芝居を
書き、その芝居だけが小さく成功するが、そ
れ以降は劇団内の不和が顕在化。興行として
も不振が続く…。
まともに山﨑賢人の芝居を見たのは『キング
ダム』と本作ぐらいだが、こちらの方がわり
といい芝居を引き出されいてる感じがした。
松岡茉優は『万引き家族』も『勝手にふるえ
てろ』も良かったけど、それらと張るぐらい
の素晴らしい芝居だった。
売れないクリエイターを経験したひとには
「刺さる」場面が満載らしい。ただ同時にこ
れは地方から上京して東京と対峙し、踏みと
どまった者と敗れ去った者の物語でもある。
行き詰まって、どうにもならない所まで行き
詰まり「尽くした」果ての、ラストシーンの
松岡茉優がなんだか幻のようで切なかった。

                         7.21(火) ユーロスペース



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