2021年1月20日水曜日

戸田家の兄妹

 
☆☆☆    小津安二郎   1941年

2本目は戦中のトーキー。
といっても音声はぼこぼこノイズだらけで、
半分ぐらいしか聞き取れない。そこは前後
の文脈と画面から推測して補うしかないの
だが、そうなるとサイレントとあまり変わ
らないような気もしてくる。

戸田家は裕福な上流家庭だが、当主の死に
より没落が始まっている。手始めに家を売
ることになり、老いた母は長男の家で暮ら
すことになるが、嫁と折り合いが悪く、長
女の家にうつる。しかしそこでも邪魔にさ
れ、とうとう鵠沼の放置してあった古い別
荘に…。「老いた親をたらい回しにする」
というのはのちの『東京物語』を思わせる。
結局、仕事で「天津」に行っていた次男の
佐分利信が戻ってきて、不実なきょうだい
たちを諫めて母親と妹を天津に連れていく
というのがクライマックスの痛快なシーン
となっているが、現代の感覚からすると、
佐分利信もだいぶ強引なことを言っている
ような気もする。

                             1.7(木) 早稲田松竹




0 件のコメント:

コメントを投稿