2021年10月12日火曜日

【演劇】雨

 
こまつ座 第139回公演
作:井上ひさし 演出:栗山民也

この時期の芝居は一昨年までなら「どうせ取
れない」と諦めていたような公演でも直前ま
でチケットが残っていたりして、なかなか切
ないものがあった。なので「行こうかどうし
ようか迷ったら、行く」ということにして、
微力ながら演劇界にお金をおとすことに。

江戸のしがない金物拾いの徳(山西惇)が、
山形は平畠藩の大きな紅花問屋の当主である
喜左衛門が自分と瓜二つであることを知り、
喜左衛門が失踪中であることを良いことに成
りすまそうとするという話である。喜左衛門
の美しい妻おたか(倉科カナ)と紅花問屋を
手に入れるために、初めは失踪中に天狗にか
どわかされて記憶が無いことにしたが、その
言い訳も長くはもたない。皆から信用しても
らえたのは、必死になって山形弁をマスター
したからである。そうして自分の命と生活を
保障してくれた山形弁が、最後には命取りに
なってしまうという、「言葉」とりわけ「方
言」にとことんまで執着した、井上ひさしら
しい芝居である。下ネタが多いことも初期の
井上ひさしの特徴。

亡くなった辻萬長の当たり役だったというこ
の芝居。なるほど、想像すると分かるような
気がする。

             9.20(月) 世田谷パブリックシアター




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